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散歩のついでに13

星川物語

カルガモの会所長の菊池さんが「星川はかつて松や杉に囲まれ、星空が川に写りそれで星川と名付けられたみたいよ。星川というと最近の地名みたいだけど、ずいぶんと昔から、平安時代だったかしら、あるみたいよ」と偉くロマンティックな話をしてくれました。検索すると倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)という平安時代の辞書に載っている話だそうです。

それで今月のお題は『星川物語』にしました。ですがまともに調べると大変。そこで保土ケ谷図書館で鈴木政治という元中学校の校長先生が書かれた本『保土ヶ谷歴史物語  星川村の昔々 とっておきの話』をパラパラとめくって面白いなと思うところをメモしてみました。

保土ヶ谷歴史物語には古老の話として帷子川、保土ケ谷公会堂のあたりで、夕刻になると、裸馬に乗った馬車荷物運搬の人たちが馬の水浴のためにやって来たこと。子どもたちもスッポンポンで泳いで先生に叱られたこと。鮠(はや)や鮒(ふな)、八目うなぎがとれたなどの思い出があることなどが書かれています。

時代はさかのぼり、江戸時代の「猪と鹿の害」のお話。
「京保6年(1721)下星川*、仏向、坂本、和田村 猪、鹿の害あり。鉄砲拝借。」
(猪と鹿が田畑を荒らす被害が多く、農民は猟師から鉄砲を拝借して追い払った。)

猪や鹿が星川にいたなんて!! 想像もつかないですね。
*現在の星川は江戸時代には「下星川」と呼ばれていました。

明治、大正、昭和(初期)時代に移り、まずは「日本硝子工場」のお話。
明治40年(1907)には神戸町(ごうどちょう)で大日本麦酒会社が清涼飲料水リボンシトロンを製造していた。隣地に大正5年(1916)、日本硝子工場が設立され、ビール壜(びん)、サイダー壜を製造した。大日本麦酒と日本硝子工業は合併して「日本硝子横浜工場」になった。
 星川から仏向にかけてガラス瓶の主要原料であった珪砂(けいさ)を採取していた。戦前までは星川小学校の裏山付近からトロッコの引き込み線で工場へ搬入していた。帷子川にはハシケ専用船の渡し場もあった。

リボンシトロンのCM、見ましたよ。ここで作っていたなんて!私も昔の記憶で相鉄線からガラス瓶をたくさん集めている風景を見たのを覚えています。あれが日本硝子の工場だったのでしょうか。また、カルガモの会の近くYBP(ヨコハマビジネスパーク)のところに「ビール坂」があり、それが大日本麦酒の名残らしいのです。現在の野村総合研究所とビジネスパークが日本硝子横浜工場のあった所でした。また珪砂を採取するために掘ったトンネルは思った以上に広い範囲に及び、私の通っていた川島小学校は地下に坑道があることから移転。保土ケ谷スポーツセンター(平成元年開館)の工事中にも、地下に坑道がみつかり工事期間が延長されたそうです。

「昭和19年(1944) 星川国民学校児童が川島町隋流院*に集団疎開。」 疎開と聞くとドラマなどではもっと遠くへというイメージがあったので以外でした。
星川から西谷に、相鉄線で駅4つの近さです。星川は軍関係の施設や工場も多かったからでしょうか。翌20年9月28日には星川に戻ったようです。疎開した子供たちは隋流院で8月15日を迎えたのですね。
*川島山隋流院…曹洞宗、1441年開基

「昭和24年(1944)県営保土ヶ谷球場が花見台に開場 巨人対東急の公式試合が行われた。」 東急がプロ野球の球団を持っていたんだ!フライヤーズと言って現在の日本ハムファイターズの前身です。観衆25,000人!今の保土ヶ谷球場でさえ15,000人。まだ巨人の川上哲治が現役の頃でした。県高校野球のメッカのイメージが強いので以外でした。

さて、いよいよ相鉄線「星川駅」についてです。
かつては「北程ヶ谷駅」と呼ばれていた。また相鉄ではなく「神中線」で、昭和2年に上星川駅~北程ヶ谷駅が開通、北程ヶ谷駅開業。横浜駅まで繋がったのは昭和8年。一般の鉄道は都心から郊外へ延長していくのに、当初は砂利の運搬を主としていたので、乗客の流れとは逆になった。まだ農村地帯で、これといった観光地もなく全線開通後も乗客の誘致に苦労したらしい。開設当初の駅舎は神中線のなかで最もモダンで立派な建物であった。

出展:フリー百科事典『ウィキペディア』星川駅(神奈川県)

現在ではご存知のように新しい“星川駅”が出来つつあります。星川駅が最も“モダンで立派な建物”だった歴史は今も変わっていないようです。

色々と知らなかったことがたくさんありました。面白いですよね、身近な場所の歴史を調べてみるって。
最後に「保土ヶ谷歴史物語」を書いてくださった星川町の鈴木政治さんに感謝します。

おしまいです。

写真と文章 大場由隆